若手社員対談インタビュー
モバイルゲーム事業部
VISUAL ARTS CROSS TALK
専用オフィスを構え、『偽りのアリス』などのモバイルゲームの制作・運営を行うモバイルゲーム事業部。
若手社員が多く集まっていることもあり、独自の感性や考え方を持ち、職人気質的な側面もありつつ、非常に柔軟な発想のもと開発を行っているチームである。
そんなチームの中から4名の社員にいろいろと話を伺った。

ーービジュアルアーツにはどのようなきっかけで入社されたのでしょうか? また、前職ではどのような職業に就かれていたのでしょう?
D.M. 前職は東京のゲーム開発会社でした。新卒でそこに入ったんですが、開発会社なので、自社IP(Intellectual Property 著作権等知的財産権)を持っていなかったんです。あくまで他社のIPを借りて開発を行うということで、今後のゲーム開発を考えたときに、自社IPを持っていた方が強いなと。そのとき、たまたまビジュアルアーツがプランナーを募集していたので、新卒で入った会社を3か月で辞めて応募しました。入った当初は企画推進室という別の部署にいまして、2019年あたりに『偽りのアリス』が始まったタイミングでモバイルゲーム事業部に運営プランナーとして異動しました。
S.Y. もともとライトノベル作家をしておりまして、たまたまビジュアルアーツのアルバイトの求人を見かけて入りました。最初はデバッガーで入ったんですが、現在はシナリオを書いています。
ーーどういった経緯で、シナリオにかかわられたのでしょう?
S.Y. 当時、シナリオを担当していたライターに、ライター業務を振られるようになりまして。それを受けていたら、いつの間にかそのライターが退社してしまい、自分がメインライターとして書くようになりました。
ーー特に前職というものはないということでしょうか。
S.Y. 特に、会社勤めはしていませんでした。
H.H. 私は前職がWeb系のコンサルタント会社のデザイナーでした。もともとゲーム会社に入りたかったんですが、デザイン面での技術不足により採用試験をうけたゲーム会社のすべてに落ちてしまいまして。そこで、デザインの勉強をしようと前の会社に入って、2年ほどデザインの勉強をしていて、そろそろかつて希望していたゲーム系に転職しようと思ったところビジュアルアーツの募集を見つけて応募しました。
ーー前職はゲームに関係のない会社だったということでしょうか。
H.H. そうです。
H.I. 前職はWeb系の会社にいましたが、ゲーム制作に関わりたいなと思い、ゲーム系の会社を探したところ、ビジュアルアーツの求人を見つけて転職しました。
ーー皆さん大阪での勤務を希望されたのでしょうか?
D.M. 僕は本社勤めになるということで、大阪に引っ越してきました。プランナーの募集が大阪と東京でかけられていたんですが、プランナーは大阪にいた方がいいと、大阪に集められて。そのあとばらばらになってしまうのですが。
H.H. 私は大阪在住で大阪のメーカーなので応募しました。
S.Y. 実家が大阪で本社勤務でした。
H.I. 私は福岡だったんですが、大阪の方がいいだろうと大阪を志望しました。
ーー皆さんが現在メインで担当されているお仕事はどのようなものでしょうか?
D.M. 私はプランナーで、詳しい内容としては、全体スケジュールの管理、イベント、企画の立案を主にしています。サブとしては、twitterのお知らせをやっています。
ーーイベント、企画の立案というのは、シナリオの方向性などでしょうか?
D.M. それはYさんの担当ですね。
S.Y. キャラクターの設定であったり、イベントの設定は自分の方で考えています。
D.M. イベントのとっかかりの部分はどうしてもシナリオと密接なのでYさんの担当ですが、それを受けて、仕様であるとか、イベントの内容を考えるのが私の仕事で、そこからHさんにデザインを頼む形になります。この月にイベントやりたいなぁと思ったところで、Yさんにキャラクターやシナリオを考えてもらって、それができればゲームの設計を進められるので、バックエンドのプログラムやデザインを発注できるという形です。
ーーシナリオ側からイベントの提案があったりするのでしょうか?
S.Y. 季節によってイベントのシナリオを考えていて、それを先に書いて見せると言うことはあります。
D.M. それを共有して、細部を詰めるのが自分の仕事です。全体のスケジュールの管理も自分の仕事なので、イベントを制作するタイミングで、例えば夏ならホラーテイストがいいとYさんに伝えて、具体的に上がってきたシナリオを見るという感じです。
ーーシナリオはYさんおひとりなのでしょうか?
S.Y. 外注にだすこともありますし、もうひとりサブライターがいますが、キャラクターなどのシナリオは私ひとりで書いています。キャラクターの設定が終わったところで、イラストを外部に発注して、イラストがあがってきたところでHさんにゲームに落とし込むデザインを頼みます。
ーーゲーム内のグラフィックであったり、UI(User Interface ゲームやサイトの見た目や使いやすさ)をHさんが担当されているわけですね。実装に対してどれくらいのスケジュールで作業されているのでしょうか?
H.H. 現在はかなり短い期間で作業しています。やること自体は早くに決まっていることも多いんですが、大きい機能などは作業が押すこともしばしばで。
ーーイベントは毎月ありますから、なかなか巻き戻しも難しいですよね。
D.M. そうですね、かつ今後はもっと大きなことに挑戦していきたいので求人募集をかけています。
H.H. 本当にそうです。
D.M. ただ、短期間での実装も必ずしも悪いことばかりではなく、ユーザーの反応から実装までが早いので、そういういったことに対するメリットもあります。twitterでユーザーからの指摘があった時に、その日のうちに修正が入るとか、そんな速度感です。
ーー完全内製ならではということですね。
H.H. そうですね。融通が利く部署だと思います。
D.M. ユーザーファーストということで(笑)。
ーーIさんのバックエンドエンジニアというのはどのようなお仕事なのでしょう?
H.I. ゲームの裏側のプログラムの実装などを手掛けています。ユーザーが見ている部分、ゲーム内の動きなどのプログラムは別の人がやっていて、私の担当は、ユーザーから見えない部分になります。サーバーの管理であるとか、データの設計、ユーザーの端末とどういうデータのやり取りをするとか、課金データとか、そういったものです。弊社のバックエンドエンジニア職への応募などは少ないのですが、やってみるとこれはこれで楽しいんですよ。
D.M. どういうところが楽しいんですか? 僕には絶対できないことなので。僕は表側のプログラマと関わることも多くて、演出についてとか。バックエンド側の方たちとあまり話すことがないので、どんなところが楽しいんだろうと。
H.I. 効率的に動かすにはどうするかとか、いかに速くデータをやり取りするか、遅延をださないようにするにはとか、そこら辺の効率性を考えるのが楽しいです。ソーシャルゲームを遊んでいると、おそらく通信に時間がかかっているという経験を誰しも持っていると思うんですが、それをいかに失くすかということを考えるんですね。それがバックエンド側の仕事の魅力のひとつです。通信しているときに輪っかがぐるぐるしたりするじゃないですか、あれが長いとユーザーはイライラしますので、それをいかに短くするかとか、あるいは、通信しているけど、それを感じさせないようにするとか。実は通信しているけど、表側からそれが見えないとか。そういったこと以外にもディレクターが使う管理ツールの制作であるとか、全体的に縁の下の力持ちです。
ーーIさんも短いスケジュールで作業されているんでしょうか?
H.I. そこまで短いと感じたことはないですね。余裕を持ったスケジュールでやらせてもらっていると思っています。
D.M. おお。
H.H. もっと詰めることができると言うことですね(笑)。
H.I. できれば今のままで(笑)。新機能の検討中から実装を始めて、バックエンドが終わったところからほかの作業に入ることが多いので、そんなに時間に追われていないんですよね。ただ、みんなの作業時間を確保するためにも頑張って実装しています。

ーー今回募集しているのは、どのような求人なのでしょう?
D.M. モバイルゲーム事業部を大きくしていくにあたって、もっと大きい規模のゲームも作りたいですし、複数ラインでゲームも作りたいので、それに協力していただける方を募集しています。
H.H. 今後ゲームのクオリティを上げていく上で、もう少し人手を増やして行きたいです。それに私たちの知識だけではいずれ限界が来ると思います。なので、新しい人が入って活躍して頂きたいです。
D.M. 今の人たちだけだと知識が偏るじゃないですか。そこのバランスを考えると新しいものが欲しいというのが大きいですね。
ーー具体的にどんな方というものがありますか。
D.M. 私たち今まで何もわからない状態から手探り状態でここまでやってきましたので、別の会社でゲーム作ってましたみたいな方に来ていただいて色々技術をもたらしてほしい!
H.H. 経験者来てほしい!
ーー(笑)。マインド的なものはありますか?
D.M. プランナー的に言うなら、このチームはそんなに厳しいことはなくて、和気あいあいとしてぬるいほうだと思うんです。きっちりしている人よりはチームとしての輪を重んじてくれる方がいいかなと思います。技術も大事ですが、人間性の方が大事かも。
H.H. デザイナーは、自分の好きなことだけじゃなくて、いろんなものに興味がある人がいいです。どちらかというとカメレオンタイプの人が欲しいな。
D.M. いろんな色を持っていると言うことですか?
H.H. 視野の広い人という意味です。例えば、このブランドが好きだから、このブランドだけということではなくて、今流行っているブランドはこういうものがあるとか、今流行っているスイーツはこういうものだとか、トレンドを追える人間がデザイナーとしてふさわしいと思うので。そういう面で視野の広い人が求める人材です。
S.Y. ライターもそんな感じです。
H.H. こら(笑)!
S.Y. いろいろ書けた方がいいですが、納得いくまで考えたものを書ける人がいいですね。なにがしか自分の中に答えがあって、それを書いてくると言いますか……。「締め切りなんでとりあえず書きました」というタイプは嫌ですね。それなら外注でいいわけですから。最悪締め切りが延びてもいいので、自分のシナリオに責任を持って納得のいくものを出してほしい。
D.M. 軸がある人がいい?
S.Y. そうですね。あと1日あればいい物になるんですがという人の方が、本当はダメなんですけど気概があっていいです。半端なものを出されるなら、いい物を出してほしいです。
H.I. バックエンドエンジニアとしては、日々技術的なことの情報を仕入れたりとか、学習したりできる人がいいのかなと思います。
D.M. 絶えず勉強しているという感じ?
H.I. エンジニア全般の傾向ですが、そういう人がいいですね。言語的にはPHPを使っているので、それが書けるにこしたことはないです。私はここに来るまで3~4年くらい使っていました。PHPではなくてもRubyやPythonが使えれば大丈夫なのではと思っているんですが。ちなみに、私はもともと個人的にUnityでゲームを作ってはいたのですが、ゲームのバックエンドについてはこのチームで初めてやりました。
ーーどれくらい勉強されているのでしょうか?
H.I. Unityを使ってみたりしていることもあって、自分がそこまで勉強してるのかというと……。ちょいちょい勤務時間中に情報を仕入れたりとかそれくらいですね。
ーーエンジニアの勉強していないは勉強していますからね。
H.H. たぶんしているんだろうな。
ーー勉強を勉強と思ってない人の方が伸びるということはあるかもしれせん。
H.I. 仕事のプログラムをして、疲れたから休憩のプログラムをしようというタイプが弊社含めてこの業界は多いかもしれません。
ーー未経験者はどうなのでしょうか?
H.H. 余裕があれば未経験者でもいいとは思うんですが、今のところあまり余裕もなく、育てる仕組みもない状態ですね。
D.M. 今回は育てる余裕を作るための求人ですので中途採用になります。即戦力で動ける方を募集しています。それがきちんとできた後には新卒であるとか、新規の募集を始めたいですね。とはいえ、プランナーは未経験でもいいかも。僕が教えますので。
ーーモバイルゲーム事業部は、ビジュアルアーツ社内でも独立したチームと伺っていますが、どんな雰囲気なのでしょうか?
D.M. 大阪に本社があって、我々も大阪にいますが、支社のような扱いで。あまり本社と関わることがありません。
H.H. 最初来たときはいじめられているのか思いました(笑)。べつにそういうわけではなさそうです。
D.M. モバイルゲーム事業部は、内部だけで完結するシステムを構築しているんです。ビジュアルアーツとしては珍しい部署ですね。疎外されているわけでも、孤立している訳でもなく、稼ぎ頭として独立採算が計れるので、専用のオフィスを持っています。
ーー独立した部署というのは裁量が大きいので居心地がいい印象がありますが、みなさんとしては、ビジュアルアーツのほかの作品にかかわりたいと思われますか。
D.M. 僕はもともとかかわっていました。前部署の企画推進室だったころは、KeyのIPを使って、グッズを作ったりしていたので。そこからこちらに異動してきたので、今では特に必要ないかなと思っています。確かにほかのみんなはどう思っているんだろう。
H.H. シナリオは?
S.Y. 『偽りのアリス』の仕事をしているといつの間にか日が暮れているので、そんなこと考えたこともありませんでした。
D.M. Key作品にかかわれると言われたら。
S.Y. それは魅力的な話ですが、せっかくなら新しいゲーム企画のシナリオをやりたいですね。
ーー人材が補充されて余裕ができたら、やりたいことはどんなことですか。
D.M. 僕は新しいゲームの企画を作りたいです。Yさんも新ゲームのシナリオを書きたいと思っているだろうし。できれば『偽りのアリス』のグッズをたくさん作ったりしたいんですが。人数が増えれば事業部なので、走らせられるラインも増えて行けると思います。現状『偽りのアリス』1ラインしかないですから。将来的にはもう1ライン作って、開発している間に、もう一方の作品を走らせるということができるのが理想です。開発ラインがふたつもみっつもあれば、チームとして機能していきますので。そうなったら全部にかかわりたいですね。
ーーチームは大きければ大きいほど良いものですか。
D.M. 僕はそうですが、でも関係性によるかも。各ラインが縦割りのトップダウン型だったら嫌かな。
H.H. 横に広い関係性?
D.M. 友達というのとは違いますが、あれやれこれやれとやるよりは一緒に走ってくれる仲間がいるチーム作りをしたいです。
ーー現状はそう言うチームになっているのでしょうか?
D.M. 今はそう言う形ですし、これからもそうです。
ーー開発チームの人数が膨大になると何をしているのかわからない人が出てくる可能性があります。
H.H. 今でも、ほかの人が何をしているかよくわかっていないので、あまり変わらないかな。みんな自分の仕事に向き合いすぎて、ほかに興味がない人ばかりなので。
D.M. 現在、分業がきれいにはまっているということですね。
ーー現状みなさん個別のスキルでそれぞれの仕事をされているわけですが、例えば、プログラムのことがわかるデザイナーなど別のセクションとブリッジさせる人材は必要でしょうか?
H.H. いたら助かりますね。ほかの職種に理解があるとやり取りがスムーズにいきますし、納得いくものにかなり近づくと思います。できることの幅が広い人が来てくださるのはかなりありがたいです。
D.M. 両方できる方がいいこともありますよね。
H.I. よく言われるのが、プログラマーにデザインさせると酷いものになるというのがあって。そこでデザインとプログラムがわかる人がいれば、大分マシになると思います。
D.M. プロフェッショナルの集まりなので、すべてお任せなのです。みんながいい物を作ればそれがいい物だろうというスタンスで。それはそれで間違いではなくて、それぞれを信頼している結果ではありますが。
ーーふたつのスキルをそこそこ持っている人とひとつに特化したスキルを持っている人ならどちらが必要でしょう?
D.M. 現状では特化したプロフェッショナルが必要ですね。ふたつのスキルを持っている方は、そのあとに欲しいです。今後事業が大きくなってくると管理する人が必要になってくると思うんですが、その時には全体のことがわからないと難しいかな。いずれにしても一緒にゲームを作ってくれる人募集です。
H.H. 攻撃しない人がいいです。
D.M. 逆算すると、確かにそういう人はダメかもね。さきほどの話ですが、チームの輪を乱さない人。それを乱されちゃうと瓦解してしまう気がする。
ーーみなさんでディスカッションとかはされるのでしょうか?
H.H. みんなでやることが多いです。
D.M. 全体でスケジュールの時に話すことが多いです。ある程度僕が項目を作った後に、スケジュール会議をして、これを入れるとか、これを入れたくないとか、間に合わないとかそういう話をしています。それが月に1、2回です。
ーー自分以外のセクションへのリクエストだったりレビューだったりはあるのでしょうか?
D.M. 気が付いたときに、こうした方がいいんじゃないかということはあるんですが。基本的にはあまりありません。大きな機能を実装しようという時にはちょくちょくあります。
H.H. デザインは自分しかいないので、部内で意見を聞くことが少なくて、ユーザーからの方が多いくらいですね。
D.M. 同じ業務をする人間がほかにいるセクション、例えば僕のプランニングとか、バックエンドエンジニアとかではかなり話をしているんですが。ライターとデザイナーに関してはひとりセクションなので、それが発生していません。どこでもふたりいれば大分変わると思います。すべての部署に人を増やしてブラッシュアップとか、フィードバックとかでより完成度を深めていきたいですよね。
ーーモバイルゲーム事業部は独立した部署ですが、ビジュアルアーツのほかの部署との連携などはあるのでしょうか?
D.M. 将来的に例えばKeyと一緒にゲームを作る可能性がないわけではないと思いますが、もともと、自分たちでIPを持ちたいという思いが強いので、現在はありません。独立した部署として、オリジナル作品をどんどん世に出していくと言うことが事業の柱でもありますので。Keyではない、ビジュアルアーツを支える別の柱として立ちたいという希望もあります。
ーービジュアルアーツに入社したら気を付けて欲しいことはありますか?
D.M. 僕は変わらず、チームの和を乱すようなのは気を付けてほしいですね。いきなりケンカ腰とか。
H.H. オフィスはめっちゃ静かで、プライベートはそれぞれあまり関わりがありません。それのおかげか、争いも起きないので。
D.M. ケンカしたこととかないよね。会議で討論のようなことになることはありますが、それを引っ張ることがないので。チームでの飲み会も特にはありません。
H.H. コロナ禍もあって、去年の年末初めてチームのみんなとご飯を食べに行きました。
ーーみなさんは同じオフィスに通っていらっしゃる。
H.H. そうですが、挨拶だけで他には特に会話もなく帰ることが多いです。
D.M. 通常は、黙々と自分の作業をしていることが多いですね。それが一番集中できますので。
H.H. 会話はすべてチャット内で済まされていることもあります。コミュニケーションがないわけではないです。真顔でワロタとか書いていて、オフィスは静かですが、チャット内は盛り上がっています。みんな仲が悪いわけではないので、静かにチームの和を乱さなければ、居心地がいい場所だと思います。
D.M. コミュニケーションの強制がないというか、面倒なことがあまりないのはいいことですね。